猫のきょうだい 美人さん

 

はるさきに かぜをひく。

猫が ふとんに はいってくるままに させる。

わたしのからだの いろんな すきまに

猫が ゴロゴロと

盛大に のどを鳴らして

四肢をのばし

ぺたりと はりつく。

あたりまえのように ふかふかの なまぐさい 獣が

わたしの うまれたての きょうだいのように

そばにいること。

ふしぎ。

あんたたちは はりつきあって いだきあって

あつくるしく ねむるのね。

わたしも 猫になって 四肢をのばして

きょうだいの 毛むくじゃらの はらに

顔をうずめて ねむった。

 

さて。

ともだちの だんなさんの おばあちゃんは

わかいころ 相当な 美人さんだった。

あんまり 美人さんだから

ともだちは

だんなさんの おばあちゃんの わかいころの

美人さんの 写真を

デスクトップの まちうけにして

日々 ながめながら

おいしく ごはんを

たべているそうだ。