いろいろあってなにもない

 

わたしが今いる場所は

いろいろあってなにもない

 

と思う。

朝一番に深沢七郎の『言わなければよかったのに日記』を手にとって開いたところを読んだ。

 

肥った三十代半ばくらいの女と小柄な女がいきなり深沢七郎のもとを訪れて言う。

「ファンなのよ。いっしょにシナ料理食べに行きましょうよ」

シナ料理につられてそのままついていったら女達の部屋につれこまれ押し倒され

押し倒されたら、ズボンのポケットの中のいるようないらないようなガラクタが気になりだし、

深沢七郎はそれらをぽいぽいと床に放り出してゆく。

 

そのあといろいろあるが、最終的に深沢七郎が女達にすげなくされたところで

なんともいえないきもちで起き上がり、ぼんやりと朝の支度にとりかかった。