2005年と2006年に英国はダンジェネスにある、デレク・ジャーマンの庭に行きました。
今はもう稼働停止しているようですが、そこは原子力発電所と荒れた海ばかりの、
人のあまり住んでいない、世界の果てのような場所でした。
晩年のデレク・ジャーマンはその場所にあった小さな漁師小屋を買って、
彼の最後の恋人とともに、植物を育てながら静かに暮らしたそうです。
めまぐるしいばかりに艶やかな花という花が咲きこぼれる季節に行ったにも関わらず、
そこは死の気配があまりに濃厚な場所でした。
「あわい」の場所とはこういう所をいうのだろうと、思いました。
あの庭の凄さを、どう言葉であらわせばいいのかわからないのが、もどかしいほどです。
あの場所へ時空を超えてまた行きたくて、あの庭の気配を思い出しながら、
今も絵を描いています。