キャスリン・ハリソン「キス」。
図書館で先日みつけて、借りた。
日本でだいぶ前に刊行された当時から、表紙の写真の少女の佇まいと
ギョッとする内容紹介からずっと気になっていた。
作者の実体験が書かれているのだが、陰惨で陰鬱。
最初は苦しかったが、視点が清潔で誠実で
次第にグイグイひきこまれ、一気に読んでしまった。
視覚的にはまるでエグルストンの写真、
ヴィム・ヴェンダースの映画を観ているようだった。
ウェットで救いようのない内容が、乾いた美しい映像でつづられているあたり。
そしてとてつもなくかなしい話なのに最後には希望と愛がある。
ちなみに新潮社からでてる翻訳本はおそらく絶版になっていると思われます↓
カバーの写真はEdward Weston。
てっきり若い頃のキャスリン・ハリソンを彼女の父が撮った写真なのかと
思ってました。そのくらい、内容に合った素晴らしい装丁だなあと思います。