門出の祝い

新境地へと舵をとり、人生の門出を迎える友人に

なにかもの凄く、ためにならない書をプレゼントしたいものだと

代官山蔦屋書店へと向かった。

 

4時間近く、ねっちりと立ち読みした結果、

レオポルド・ショヴォーの「いつまでも、鰐」を、プレゼントすることに決めた。

おなかがへったから、傍にいた曾孫の鰐をパクパク食べた、老いた鰐の話。

 

そうして、友人の誕生日前日に

いかしたウォーターフロントのレストランで、問題のその鰐を、渡した。

「ありがとう。なんだか、せつないな」と、

本を受け取った瞬間、顔をほころばせてくれた、友人。

「せつなくなるような本じゃないよ」と、強く伝えておく。

「ありがとう。寝る前に読むね」とも、友人。

「寝る前に読むような本でもないよ」とも、伝えておく。

 

その後、友人から感想の連絡などは、とくにない。